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Instant

新米物書きの戯れ言

京都でオーストラリア人と出会った話

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5月3日の夜、祇園へ写真を撮りに行った。

GWは忙しくて、この日の夜まで自由な時間がなかった。

 

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河原町駅には夜の8時に着いた。

街は観光客でごった返していた。

鴨川にはもう納涼床が出ていて、季節の移り変わりを感じた。

 

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橋を渡ると、四条交差点ではインストゥルメンタルバンドがストリートライブを行っていた。

名前は『さらさ』

しばらくは、その音色に聴き入っていた。

 

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数枚写真を取らせてもらったので、手前に置かれた箱にコインを入れてその場を後にした。

 

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三脚を持っていなかったので、上手くは撮れなかった。

それでも、自由に街を歩けるのは久しぶりで気持ちが良かった。

 

四条通りから八坂神社を撮った後、花見通りに入った。

そこで、写真を撮っていた時だった。英語で女性に話しかけられた。

 

「今、撮った写真を見せてくれない?」

 

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すると、他の写真も見せて欲しいと女性は言った。

外国人は男性と女性の二人組。ご年配の夫婦だった。

 

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私はこの写真を見せた。

3日ほど前に木屋町で撮ったものだった。

女性の方がこの写真をとても気に入ったみたいで、iPhoneで私のiPadの画面をパシャパシャ撮っていた。

 

「この場所はここから近いの?」

「近い」

「どう行ったらいい?」

「案内しますよ」

 

こうして私が二人を案内することになった。

二人はオーストラリア人で男の方がスティーブン。女性がキャシーと言った。

日本中を旅行していて、京都にはこの日の夜に着いたばかりだったらしい。

目的地の木屋町へは歩いて5分くらいだったけど、私はあえてちょっと寄り道をして、夜の綺麗な町並みを二人に見せた。

 

キャシーは写真が好きなようだった。

少し歩いては立ち止まってiPhoneで写真を撮っていた。

その度に、スティーブンは私を立ち止まらせて、キャシーが撮り終わるのを待った。

スティーブンは彼女のことを「写真狂いだ」と言って微笑んだ。

 

私の英語は不明瞭だった。

もう、かれこれ3年はまともに英語を使っていなかった。

キャシーが言ってることがわからなくて、彼女は言葉を変えて何度も説明してくれた。それでも、私がわかんないよ!と言ったときは、3人で声をあげて笑った。

 

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そうしているうちに木屋町に着いた。

キャシーがiPhoneを持って、私とスティーブンで記念撮影をした。

それから、スティーブンが私に紙を差し出した。

旅の写真をまとめた本を作るから、住所を教えて欲しいと言った。

それから、もうひとつ何かを手渡された。チップだった。

何枚かのお札だった。私は受け取れないと言った。

すると、こう言われた。

 

「君はとても親切だ。案内してくれるなんて、こういうことはあんまりない。タカノは英語をあまり話せないと言ってるけど、僕は日本語をまったく話せない。とても楽しかった。ありがとう。だから、受け取って」

だいたいこんな内容だったと思う。

 

英語が得意ではないというのは、本当に思っていることだった。でも、スティーブンから日本語をまったく話せないと聞いたとき、ちょっと考え方が変わった。

私には一生懸命、英語を勉強した時期があった。でも、ペラペラと話すことが出来なくて、やる気を無くしていた。

しかし、過去に努力したことは、今日のためになったのだ。

少しでも、勉強したことが役立った。そのことを、誇りに思った。

私は英語に対して、卑屈過ぎたのかもしれない。

 

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そのあとはキャシーに誘われて、ディナーを食べに行った。

私が先斗町に案内すると、タカノが食べたいものを選んでいいよとスティーブンは言った。

私は川床のあるすき焼きのお店を選んだ。

本当に私が食べたいものを選んだだけだった。

 

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ディナーを食べながら、いろいろなことを話した。

スティーブンがビールとウイスキーしか飲まないこと。

私がカクテルを好きなこと。

キャシーは写真が好きなくせにカメラをホテルに置いてきたこと。

 

娘さんはデザインの先生だとスティーブンは言った。息子はプロのバイオリニストらしかった。

芸術の一家だった。

 

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頼んだのは黒毛和牛のすきやきだった。

私の一週間の食費よりも高い値段だった。

全部、スティーブンが奢ってくれた。

ついでに、たらふくビールを飲まされた。

 

やがて、夜も更けて、私は2人をホテルまで見送った。

たった3時間の出来事だったけど、印象に残ることばかりだった。

今日のことを私はずっと忘れないだろう。

スティーブンとキャシーは私にポジティブな思考を与えてくれた。

写真を褒め、英語を話せることは立派なことだと教えてくれた。そのことは、私にとって大きな自信になった。

もっと、一生懸命、毎日を生きようと思った。